院長のひとりごと

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2022.09.30更新

京都 四条烏丸の歯科医院 RIMO dental clinicの院長 小川智功です。

前歯がないところを相談したいと患者さんがご来院されました。

初診時

患者さんは30代前半の方で、他院様で、接着性ブリッジを提案頂いたとのことでした。他院様で先にお話を聞いておられるので、セカンドオピニオンとしてお話しました。「僕は第一選択はインプラントであると判断します。接着性ブリッジは歯を削る量も少なく、現況では有益な治療のように思えるかもしれません。しかし、接着性ブリッジは切削面との界面が広くなるため、むし歯になるリスクは高くなり、むし歯の切削が必要になった時点で、その接着性ブリッジを再度使うことは不可能となります。むし歯にならないようにするのであれば、きちんと歯を削合し、ブリッジを装着した方が良いです。それでも、そのブリッジがこの先20年、全く変わらない状況で過ごせるとは思えません。少なくても、ブリッジと天然歯との色の違いは出てくることと思います。20年経っても平均寿命まであと30年ある状況です。なので、歯を削合する治療オプションを狭める行為、接着性ブリッジを装着する安易でリスキーな行為を選択して、一生涯をトータルで見て費用を無駄にかけることは選択しない方が良いと考えます。インプラントだって無駄になるかもしれないじゃないか、そう思うかもしれません。もちろん患者さんの意識やセルフケアの影響が大きいので断言はできません。でも、ブリッジよりも歯は削合しなくてすみます。接着性ブリッジよりもむし歯のリスクは少なくて済みます。一生持つとは言えませんが、ブリッジや接着性ブリッジよりは必ず長持ちします。インプラントがダメになることがあるとしたら、ブリッジや接着性ブリッジでは、もっと早くにダメになっていることは断言できます。当院での治療を勧めるつもりは毛頭ございません。既に他院様でブリッジや接着性ブリッジを入れておられたら、以上のことを話しても無駄ですし、外れないように祈って見守ることしかできません。何度も言いますが、当院で治療を受けることを勧めたい訳ではないです。既に他院様でお話を聞いておられるので、当院が第一候補ではないことは分かっているからです。その上で、『あの時、自分が考えたことをきちんと伝えれば良かった。』と、後々に僕自身が後悔しないためにお伝えしています。僕自身の自己満足だと重々承知した上で、当院での見解を含めた治療計画書を作成しますし、他院様にこの治療計画書をお見せの上、インプラントか接着性ブリッジかをもう一度再考願いたいです。」と、状況説明のため、治療計画書を提示しました。

治療計画書

 後日、患者さんは、当院でのインプラント治療を選択されました。まずは、CTシミュレーションを行いました。

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過去に抜歯となった歯の状況が悪すぎたため、骨幅が少ない状況でした。他院様が接着性ブリッジをお勧めになったことは、このことが理由でしょう。だとしても、僕の第一選択がインプラントであることは変わりません。そのことも踏まえて、手術計画書を作成しました。

手術計画書

前歯部のインプラント手術に至るまでに考えることや方針については2021.8.6に詳しく書いています。一般的に前歯部のインプラント治療は難易度が高いと言われています。何においてもそうですが、僕は「問題を難しくするのも、簡単にするのも、自分自身の考え方次第」と考えています。歯科臨床においては、術者が難しいことに挑戦することは、患者さんへの負担に直結します。
 複雑な問題は単純な問題の複合体。治療は患者さんとの二人三脚ですので、複雑な問題を一つ一つを紐解いて、解答を積み重ね、一歩でも半歩でも必ず前に進む事が大切だと考えています。

 インプラントはドリルで削った骨の窩に埋入します。今回インプラントを埋入したとして、もしもうまくいかなかった場合、インプラントが使えなくなるどころか、ドリルで削った分だけ骨が著しく無くなることとなります。ブリッジでの対応を余儀なくされたとしても、審美的なブリッジを装着することはできないでしょう。この患者さんのご希望を解決するのは『技術』ではなく、『安心、安全な治療の提供を最優先とする医療人としての良心』だと考えていました。

なので、まずは骨組織再生療法を行いました。

GBR後

骨組織再生療法から2ヶ月後、問題なく歯槽堤が回復できています。初診時からの比較です。

GBR前後

インプラント手術を行いました。初診時からインプラント埋入後まで、レントゲンによる比較です。

術前術後

シミュレーション通りにインプラントを埋入できました。レントゲン写真から分かりますが、この患者さんは歯根が短い方でした。ブリッジでの対応を行うと、現在天然歯である両隣在歯を切削することになることや短い歯根に負担をかけることになることもあります。仮にブリッジで対応したとしたら、今は1本の欠損が、将来的に2〜3本の欠損へと拡大してしまう可能性もあります。この方本来の歯根長よりも長いインプラントを入れることで、予知性の高い治療を期待できます。

患者さんは8:45に来院され、局所麻酔、クリーニング後、9:10から手術開始、9:40には縫合終了しました。術中術後の資料の確認を患者さんと行い、10:00には医院をお出になられました。患者さんも喜んで下さったので、良かったです。

医療広告のガイドラインに基づき、治療概要を記載致します。

治療名:骨組織再生療法、インプラント手術

治療内容:骨再生後、1本のインプラントを埋入。

治療に際してご理解頂いたこと:局所麻酔が必要です。骨再生処置、インプラント治療では外科処置が必要です。インプラントドリリング時、歯の切削に伴い、振動などの違和感があります。

治療後にご注意頂くこと:治癒は術後の患者さんの動向に依存する部分もあります。手術後2〜3時間は患部を良く冷やして頂いた方が腫れにくくなります。手術後当日は汗をかくような体を温める血行が良くなることは控えて、安静にして頂いた方が腫れにくくなります。2〜3日は腫れることがございます。

手術時間:骨再生手術約40分、インプラント1本埋入手術+部分的骨増生 約30分

費用:骨再処置、診断料、手術基本料、1本インプラント埋入手術(印象、上部構造等は含んでおりません) 約36万円

投稿者: リモデンタルクリニック

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